Commentary
こっちの道もある どっちの道が正しいの?
This way is left, which way is right?
“left” と “right” はダブルミーニングになっています。
left
まず皆さんが最初に思い浮かべるのは「左の、左方の」でしょう。
直訳すると「この道は左」となります。
そして、もう1つは leave の過去分詞形です。
leaveには「残す」という意味があります。
『be + 過去分詞形』で受動態になっているため、直訳すると「この道も残されている」となります。
right
こちらも left と同じように、まず皆さんが最初に思い浮かべるのは恐らく「右の、右方の」でしょう。
直訳すると「どっちの道が右?」となります。
しかし形容詞 right には「正しい」という意味もあります。
それで直訳すると「どっちの道が正しい?」となります。
以上のことから、この文章は下記に示す2つの意味を持つことが分かります。
This way is left, | which way is right? |
こっちが左 | どっちが右? |
こっちの道もある | どっちの道が正しいの? |
このダブルミーニングを日本語で表現するのは無理なので、吹替と字幕は違約となっています。
右も左も分からない
私訳は吹替、字幕と敢えて違いを際立たせるような訳し方をしました。
くらくら くるくる
I’m swirling and twirling
私の居場所はここよ
I belong
歌詞中に2回登場しますが、1回目と2回目で吹替の歌詞が下記の通り違います。
1回目 | 私の世界 |
2回目 | 私の世界よ |
なぜ2回目に「よ」がついたかですが、これは恐らくリップシンクによるものです。
映像作品に登場するキャラクターの口の動きにセリフを合わせることをリップシンクと言います。
リップシンクはアナ雪が大ヒットした際テレビで取り上げられることが多くあったため、そこで知ったという方もいるかもしれません。
僕はFF15のローカライズ苦労話の記事で知りました。
1回目は「世界」と歌っている途中あたりでアリエルのシーンに切り替わるためリップシンクによる束縛はあまりないのですが、2回目は思いっきり「ɔ」の口(日本語のオに近い)をしているメロディがバッチシ映ってしまっています。
そのため、「私の世界」だと語尾が「イ」となり映像と矛盾が生じます。
それを回避するため「世界よ」として語尾の母音が「オ」になるようにしたのだと思われます。
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