Trip a Little Light Fantastic の意味【Mary Poppins】

gaslight メリーポピンズ

Prescript

この記事では『メリー・ポピンズ リターンズ』の劇中歌 “小さな火を灯せ”(原題:Trip a Little Light Fantastic) で何度も登場する下記の歌詞の意味を解説します。

Trip a little light fantastic

“”Trip a Little Light Fantastic, Mary Poppins Returns‘s inserted song

ある程度英語を学習したことがある方なら、この歌詞の中に恐らく知らない単語は一つもないと思います。

Trip、a little、light、fantastic…… どれも聞き馴染みのある英語ですよね。

しかし、この歌詞の持つ本当の意味を理解している方はほとんどいないのでしょうか?

タイトル通り “小さな火を灯せ” って意味でしょ?

と思ったそこのあなたは、残念ながらこの歌詞の半分くらいしか理解しきれていません。

そもそも、この歌詞はダブルミーニングになっています。

その1つは邦題にとても近い意味ですが、もう片方は全然違う意味です。

この記事を読めば、サントラを聴きながら “Trip a little light fantastic!” と口ずさむ度にモヤッとした気分になることはもう二度とありません。

それでは解説に入ります。

答えを先に確認したい方はこちらをクリックしてください。

1つ目の意味

まず1つ目の意味がこちら。

華々しく一筋の光を灯そう

こちらが邦題に似ている方の意味になります。

動詞の Trip

Trip と聞いた時、恐らくほとんど方は最初に「旅行」を意味する名詞を思い浮かべるかと思います。

日本でもカタカナ英語として深く根付いていますからね。

しかし、当然この歌詞の Trip はその意味では使われていません。

そもそも名詞ですらないのですから。

先程の訳から「灯す」という意味があると思った方もいるかもしれませんが、それも正解とは言い切れません。

正解はこちら。

(他動) <機会・装置を>始動させる

そのため直訳するとこのようになることが分かります。

華々しく一筋の光を始動させよう

ただ、これでは日本語的に違和感があるため「灯そう」と訳しました。

fantastic の副詞的用法

邦題の意味に近い1つ目の訳で明らかに邦題にないのが「華々しく」という文言。

これは fantastic の訳です。

この fantastic という単語もよく聞く単語ですよね。

最近3作目が上映されたハリーポッターの前日譚「ファンタスティックビースト」に、BIGBANG の『FANTASTIC BABY』、これまで何度も映像化され来年ついにMCU版が公開される『ファンタスティック・フォー』、エトセトラ。

そんな fantastic は「空想的な」「気まぐれな」「すばらしい」などといった意味を持ちます。

しかし今並べた言葉は全て形容詞。

歌詞に注目すると fantastic は文末にあります。

形容詞が文末にくるのは第2文型(SVC)の時ですが、歌詞のV(Trip)は他動詞なので第3文型(SVO)ということに。

となると、この fantastic は副詞ということになります。

しかし辞書で fantastic を引いても副詞としての用法は一切載っていません。

でも副詞なんです。

いや、正直根拠はないんですけど……

英文にはこういったことが時々あります。

洒落になっているものは特に。

ではこの歌詞が洒落なのかと言うと、実はそうなのです。

1つ目の意味はあまり関係ないのですが、これから紹介する2つ目の意味はある慣用表現の洒落になっています。

それに引っ張られてこのような奇形、fantastic な英文になってしまったのです。

2つ目の意味

2つ目の意味はこちら。

軽やかに踊ろう

全然違うので驚いたかと思います。

では、これは何の洒落になっているのでしょうか?

元ネタ

Trip the light fantastic

こちらが元ネタ。

踊る」という意味を持つ慣用表現です。

イギリスの詩人ジョン・ミルトンが1645年に発表した詩『L’Allegro』の一節

Come, and trip it as ye go,
on the light fantastick toe.

から色々抜け落ちて最終的に今の形に落ち着きました。

こちらを訳すと大体このような意味になります。

おいで そしてそれを転がすんだ 君の思うがまま
輝かしく豪奢なそのつま先の上で

動詞の Trip (2)

先程 Trip には「始動させる」という意味があると述べましたが、今回はその知識だけだとイマイチしっくり来ません。

ここで紹介したい意味がこちら。

(他動) つまずかせる、転ばせる、ひっくり返す

it は具体的な何かを指しているわけではなく抽象的なものであり、それを人の足をすくうようにひっくり返す。

転じて「踊る」という意味になったのだと自分は捉えています。

実は Trip にはこんな意味もあります。

(自動) 軽快な足取りで踊る

最初はこの意味が当てはまると思ったのですが、後ろに it があることを考えると他動詞であるため、残念ながら当てはめることはできません。

ただ Trip とせずに詩的に表現したのでしょう。

軽やかに

というわけで、この歌詞が “trip the light fantastic” の the を a little に変えた洒落だということは理解できたかと思います。

元々の意味が「俊敏に踊ろう」という意味であるため、the が a little に置き換わったことでより規模が小さくなり「小踊りしよう」くらいのニュアンスになります。

Postscript

1華々しく一筋の光を灯そう
2軽やかに踊る

“trip a little light fantastic” の意味は理解できましたか?

2つ目の意味はとても意外なものだった思います。

a little にすることで light はより小さく、踊りは小踊りに。

迷える子どもたちの手が届く範囲にもまだ出来ることはある。

塞ぎ込んだりせず、まずはそれらやってみよう、動き出そう。

そういったメッセージ性が感じられる素敵な歌詞だと私は思います。

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